禁煙外来
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1.タバコがやめられない
タバコがやめられない
機関誌 2001年2月より
院長 長尾 和宏
タバコの害!でも認めたくない
「この1週間咳がひどくて夕べは一睡も出来ませんでした」
「タバコは吸いますか?」
「はい、20本程度ですが」
「じゃあ、まずタバコをやめて下さい」
「それは出来ません。とにかく咳止めと注射をして下さい」
3ヶ月後に再び来院。
「薬を飲みましたがその時だけで、全然咳が止まりません。咳が出だしてもう3ヶ月にもなります」
「よく我慢しましたね。結核の検査も必要ですが、まずタバコをやめることです」と頭ごなしに説教を始めてしまいます。
「私は今まで30年間タバコを吸ってきましたが、こんな事は1度もなかったし、それにニコチンの少ないタバコに変え、根本まで吸わないようにしているので、タバコが原因ではないと思います」
という逆襲が必ず返ってきます。
「肺も老化するのです。今の咳はタバコが原因か誘因であることは間違いありません」
「でもタバコをやめるくらいなら死んだほうがましです。先生は自分がタバコを吸わないからそんな勝手な事が言えるのです」 ときます。
しかたないので「私も昔は吸っていました」と少し譲っても、
「じゃあ偉そうに言わないで点滴をして下さい」となります。
機嫌の悪いときは「じゃあ勝手にしてください!」・・・と言いながらも渋々薬を出していますが。
医者と患者の攻防戦
内科には咳の患者さんが毎日何人も来られますが、このような、とりとめのいない問答が繰り返されています。悪く言えば、喫煙者とは(1)禁煙する意志がなく (2)理屈っぽく (3)隣の人に煙りがかかっても気にならない人々 という気がしてきます。 医者に「禁煙!」と正面切って言われると腹がたつのでしょう。たいてい反論の嵐に遭います。
世間には、タバコは文化である!とか、禁煙推進派はファシズムである!といった意見もあるのは充分知っています。これはあくまで健康人の話であり、少なくとも病院にかかる人の話ではないと思います。
日本のマイルドセブンは、アメリカやヨーロッパでは、「喫煙は肺ガンの原因となる」とか「喫煙は心臓病の原因となる」とはっきりとした警告付で売られている。我が国の現行である、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎには注意しましょう」という表示は、警告どころか、「吸い過ぎなければ大丈夫」とも読めるものであり、消費者を欺いている。こんな欺瞞が、まかり通っていることに愕然とさせられるとともに、これほど悪質な商法は他に例を見ないのであり、タバコ製造者の責任が厳しく問われなければならない。
WHO(世界保健機関)の本年度「禁煙デー」(5月31日)のスローガンは、“Tobacco Kills-Don't be Duped”であった。普通に訳せば、「たばこは人殺し、だまされるな」となる。ところが、厚生省作成のポスターでは、「その1本、みんなの命けずられる」となっている。市民運動から公開質問された厚生省は、「公募標語を使用したもので、WHOの和訳として採用したものではない」などと弁解している。JTやたばこ事業を監督する大蔵省に対する厚生省の気兼ね、及び腰がこんなところにも出ている。
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