高脂血症講座

 

高脂血症の定義
総コレステロール220mg/dl以上 中性脂肪150mg/dl以上

   
  コレステロ-ルはどこからくるのか
 

 

  血中のコレステロールは、全部脂っこい食事に由来すると考えている人が多いようですが、これは間違っています。食事に由来するのは2割で、あとの8割は肝臓で勝手に作られるのです。ですから例えば肝硬変になると、肝臓でコレステロールが作れなくなり血中のコレステロールは正常値以下となります。
さて、肝臓で作られるコレステロールは女性ホルモンに支配されています。女性ホルモンはコレステロールの産生にブレーキをかけていますが、更年期以降は女性ホルモンが急激に減少するためこのブレーキが効かなくなり、コレステロールがどんどん作られます。男性は50、60才ではむしろ減少しますが、女性では急激に増加します。ですから女性のこの年代での軽度の高脂血症は生理的現象とも言えます。私自身は他に合併症がなく善玉コレステロールが正常であれば、この年代の女性の軽度の高脂血症は、そう神経質にならなくても良かろうと考えています 。

  何故治療するのか
 

 

  答は明快です。人間の死因の1位である血管が詰まる病気(脳卒中と心筋梗塞)を予防するためです。動脈硬化の予防です。

  治療法について
 

 

  第一に食事療法、運動療法です。肥満のある人は、例えば体重を3㎏落とすだけでも明らかにコレステロールは低下します。私の口癖ですが、病気には、良くなる、不変、悪くなるの3つのどれかしかありません。肥満の人は、その判定が実に簡単です。すなわち、糖尿病や高血圧も合併した人でも体重さえ落とせば、コレステロール値、血糖値、血圧すべて間違いなく改善します。あなたがもし医者嫌いであれば、極論すれば採血をしなくても、体重さえ見ていれば病気の進行方向が分かります。とにかく、体重計には毎日乗りましょう。最近、体脂肪計といった一見便利な道具が売られていますが、体重計で充分です。くどいようですが肥満症の人は御自身の体重の動向が、そのまま病気の動向を表します。  以上の努力をしてもどうしても高脂血症が改善しない人、また元々痩せているのに体質的に高脂血症の人、また特殊な病気ですが遺伝性の高脂血症の人には、お薬を処方します。

  家族性高コレステロ-ル
血症とは
 

 

  稀に、遺伝的に悪玉コレステロールの処理機構が壊れていている人がいます。両親ともこの病気ならホモ、片親だけならヘテロと言います。前者は極めて稀ですが後者は約500人に1人と決して稀ではなく、20才代からコレステロールが300mg/dl以上となり、放置すると心筋梗塞や脳梗塞で若死します。まぶたの上の黄色いホクロ(黄色腫)、角膜のコレステロールの輪(角膜輪)、アキレス腱の肥厚などの特徴があり、専門医なら患者さんの体を診るだけでまず診断がつきます。この病気の治療には、薬しかありません。何種類かの薬を組み合わせて飲み、不十分ならコレステロールを除去するための血液の透析(アフェレーシス)を行います。私も開業以来2人ほどこの病気とおぼしき患者さんに出会い、現在も治療中です。余談ですが私の出身医局である阪大第二内科の松沢教授は、この病気の世界的権威で、第二内科には沢山のこの患者さんの家系単位が集まってきます。私も阪大病院で研修させて頂いた時に何人かこの病気の患者さんを診させて頂きました。この経験が今も役だっています。この病気は、患者さんには全く自覚症状がありません。出来るだけ早く医者にこの病気である事を見つけてもらうことが重要です。この病気だけは、高脂血症の中でも特別扱いなのです。
さらに余談ですが松沢教授は、今話題の「内臓肥満」の発見者、提唱者でもあります。「肥満には皮下脂肪型と内臓脂肪型があり、後者は生活習慣病と関連が深く、恐い病気である」ということは、再三マスコミにも報道されており御存知の方も多いでしょう。この「内臓肥満」の本家本元の先生の医局に在籍出来たことは私にとって幸運なことでした。

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