癌講座4

 

       

  4.癌Q&A

 

 癌について

 

  

Q1. 癌検診はどれくらいの間隔で受けるべきでしょうか?

 

A1.  一般には、癌年齢とされる40才以上の人は、1年毎に受けなさいと言われます。しかし明確な根拠があるわけではありません。もし胃透視を40才から80才まで40年間毎年真面目に受けたとしたら、放射線の被爆量は莫大なもので、その被爆による発癌のほうが心配になってきます。私は、癌検診を全く受けないのもひとつの選択であるとも考えている位ですので、1年と言うのは大体の目安で時に2年に1回でも構わないし、例えば身近な人が癌になり恐くなった時や思い立った時のみに受けるのも、ひとつの立派な選択枝だと思います。要は癌検診も捨てたものではないのでたまに受けても決して損はしないと思います。

 

Q2. 癌といっても色々ありますが、どの癌に注意すべきでしょうか?

 

A2. 胃癌は、すべての人に共通すると考えていいと思いますが、あえて言うなら塩辛いものが好きな人は特に要注意です。ヘビースモーカーは、どんな癌にも注意が必要ですが、特に肺癌、食道癌、喉頭癌に要注意です。肉好きで高脂肪食の人は、大腸癌、膵臓癌に御注意を。ご婦人では、概して早熟だった人は子宮癌に、反対に奥手だった人は乳癌に注意と言われています。肝臓癌は特別です。大半がB型およびC型肝炎などの慢性肝炎の人ですので最も発癌が予想しやすい癌と言えます。

 

 

Q3. 癌になり易い体質はあるのでしょうか? 

 

 

A3.  癌は遺伝子の異常で起こりますから、昔から癌家系という言葉があるように、親兄弟に癌の人がいる家系、特に50才以下で癌になった人がいる家系の人はある程度割り切って注意をしておいた方がいいと思います。もちろん、発癌は生まれつきの遺伝子のみで決まる訳ではありません。タバコや酒などの生活習慣のみならず性格などの、いわば後天的な要因は、発癌遺伝子に拍車をかけるため、癌の発生に大きく影響してきます。やはりネアカの人よりネクラの人の方に癌が発生しやすいのは事実のようです。昔から「病は気から」と言いますが、私自身は「癌も気から」と言える部分も多いと考えています。

 

 

Q4. 血液検査で分かる癌もあると聞きましたが? 

 

 

  

A4.  血液検査の中で腫瘍マーカーと言われるものが沢山ありますが、一般的には癌の早期発見には役立たないと言われています。しかし多少の例外もあります。前立腺癌は、PSAという腫瘍マーカーで発見出来ますし、肝臓癌は、AFPやPIVKAⅡという腫瘍マーカーで発見出来る場合も多くあります。私自身も、CA19ー9という腫瘍マーカーの異常から膵臓癌を早期発見した経験もあります。ですから、早期発見に有効な場合もある、というのが答になります。

 

 

大腸癌について

 

Q5.  血液検査で大腸癌が分かると聞きましたが本当でしょうか?

 

A5. 腫瘍マーカーと呼ばれる血液検査があり、最近は、2~3項目含んだ人間ドックもあります。しかし、腫瘍マーカーが大腸癌の早期発見に役に立つとはとても言えません。確かに進行大腸癌では陽性になることが多く、特に手術後の再発の有無を知る上で、大変役に立ちます。しかし、陰性の癌も少なからずありますし、早期癌ではまず陰性です。腫瘍マーカーを機に癌が発見される人もいますが、私の経験では半数以上は命は助かりません。大腸癌ではCEAが代表的です。腫瘍マーカーはあくまで補助的な検査法とお考え下さい。

 

Q6. 某病院で大腸ポリープがあると言われ内視鏡で4個取りましたが(1cm以内の良性)、毎年この死ぬほど苦しい検査が必要なのでしょうか?(56才 男性)

 

A6.  大変耳の痛い質問です。結論から申しますと、やはり1年後には内視鏡検査を受けて下さいという以外の答えが見つかりません。小さなポリープが直接癌に発展する事は稀ですが、ポリープが出来易い人ほど、大腸癌が発生しやすいという事実があるからです。1年後の検査で異常が無ければ、今度は2年後、反対に新たに異常があれば、引き続き厳重な監視下に置かれます。以上はこの年齢(50歳代)での話です。もし75才以上ならケースバイケースとなります。大腸の検査は、ある程度の体力がないと出来ませんので年齢や全身状態を充分考慮して行われています。激しい苦痛の事は、主治医に正直に文句を言い、次回からは鎮痛剤の注射をしてもらうなど工夫を求めて下さい。最近では色々な鎮痛剤が使われています。

 

Q7. 父親が40歳代で大腸癌で亡くなりましたが、私も大腸癌に注意すべきでしょうか?(42才女性)

 

A7. 癌は遺伝子の異常で起こることは皆さんご存じでしょうが、癌遺伝子や癌抑制遺伝子の研究は大腸癌において最も進んでいます。大腸癌は、これらの数種類の遺伝子の異常が重なって起こることが証明されつつあり、癌の中でも最も遺伝的素因の強い病気と言えます。従って両親のいずれかが、50才未満で大腸癌になっている場合は極めて注意が必要です。この場合に限っては便潜血検査よりも定期的に内視鏡かレントゲンでの精密検査をおすすめします。さらに、大腸以外の臓器、胃、肺、乳房、子宮の癌にも充分注意して下さい。具体的には毎年これらの癌検診を受けることです。

 

Q8. 大腸癌を予防する方法を教えて下さい。

 

A8. 日本人においては、一言でいえば洋食をやめて、和食にすることです。とにかく昔の日本人の食事に戻すことです。昔は大腸癌なんて病気は日本では、むしろ稀な病気であった事を考えて下さい。食物繊維を多く取り、便秘を避けることです。トグロを巻くような太い立派な便の人は、大腸癌になりにくい人です。反対に、形のない途切れ途切れの細い便の人は、要注意です。肉食、高脂肪食の欧米人の便は、後者のように体に似合わず細い便です。最近では、小麦のフスマなど、大腸癌の予防に有用と考えられる健康食品が、開発されています。その他、アスピリンやその仲間の消炎剤に、大腸癌や大腸ポリープを予防する作用があることがわかり、世界中で研究されています。

 

肺癌について

 

Q9. 20歳代にひどい結核をしましたが、結核と肺癌は関係あるのでしょうか。(72歳男性)

 

A9. 以前は肺結核のひとは肺癌になりにくいと考えられていました。癌の免疫療法で有名な(完全には認められていませんが)丸山ワクチンは、実はこの考えに基づいた治療法です。しかし現在は考え方が逆転し、肺結核の人は、肺癌になりやすい(ハイリスク)と認識されています。古い結核病巣の中に肺癌ができることは、よくあることですが、胸部レントゲン写真1枚では、早期診断が困難なことが少なくありません。

 

10.  父が肺癌で亡くなりましたが、肺癌は遺伝するのでしょうか?(45歳男性)

 

10. 胃癌や大腸癌は遺伝的素因の強い癌ですが、肺癌は強い遺伝性は確認されていません。喫煙や結核既往者、さらにはアスベスト吸入などの職業歴によって発癌しますので、遺伝よりも後天的な環境因子が影響します。

 

11.  主人がヘビースモーカーですが、私も肺癌になりやすいのですか?(33歳女性)

 

11. もちろんそうです。御主人が自宅で1日20本吸うなら、奥さんの肺癌の確率は、約2倍高くなります。ですからご主人の禁煙は奥さんの肺癌予防にもなります。

 

Q12.  何度も禁煙に失敗しています。禁煙ガムという便利なものがあると聞きましたが、どういう物ですか。(55歳男性)

 

A12. 禁煙は、肺癌のみならず全癌の最大の予防法です。しかし一般に、禁煙の成功率は5%以下です。そこで、ニコチンガムという禁煙補助薬が開発されています。これは、ニコチン成分を含んだガムを1日数個から始め、プログラムに従って減量し、2~数か月以内に禁煙を完了するものです。さらにガムの代わりにニコチンパッチという円形のシールも、この5月から許可されました。これらの方法で、禁煙の成功率は、30~40%と大きく高まります。実際、当院でもニコチンガムで禁煙に成功した人が数人おられます。しかし、これらの禁煙補助薬を用いるにせよ、本人の禁煙したいという強い意志が大前提になります。また保険適応外ですので、2~数万円の出費が必要となります。

 

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