和80号

 

「和」 3月号(2008年3月発行)
 
医療崩壊をくい止めよう!―老人1割、現役2割に戻そう!―
 
○4月から後期高齢者医療制度・特定検診が始まります。
 4月から、医療制度が大きく変わります。まず、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度がスタートします。この制度の実体は老人切り捨て政策せあり、大きな問題があります。政治の力で、老人を大切にする制度に早急に戻す必要があります。
同時に市民検診が廃止され、「特定検診・保健指導」に変わります。お腹の周りを計測し、肥満を基盤にした検診に大きく変わります。この制度は40歳から74歳が対象です。当院では、この事業に積極的に取り組むべく準備を進めています。
○医療崩壊の原因と解決策は?
連日「医療崩壊」の四文字が新聞、マスコミを賑わせています。実際、平日の昼間に盲腸を診断しても、送る病院がないのが実情です。救急入院の問い合わせは、3~4件は当たり前です。どうしてこんな困ったことになったのでしょうか?
病院勤務医の過重労働(昔からですが)、医師が簡単に訴えられ逮捕される、などが原因です。新臨床研修医制度の開始により白い虚塔のような医局制度が崩壊したのも、原因の一つです。何よりも、小泉政権以来の厳しい「医療費抑制政策」の結果、今日の医療崩壊が起こりました。
日本の国の医療費は32兆円ですが、自己負担(実効負担率)は、18%です。あとは、皆さんの納めた保険料で、国の負担金は8兆円です。日本の医療費は、高いと思っている方が多いと思いますが、実は先進国中最低レベルです。最低の投資で、世界最高の長寿国になれたのも、世界に例をみない国民皆保険制度のお陰です。しかし、現在の3割の自己負担は保険制度としては高く、体調が悪くても4割の人が受診を控えると言われています。
 医療崩壊を食い止めるためには、医療費を先進国並みに増やすしか方法はありません。現実的には消費税を増税し、医療に回すしかありません。国会では、「道路か医療か」というホットな議論が続いています。私は、現役3割、老人でも1~3割の自己負担を、「現役2割、老人1割」の国にすることが第一歩と考えています。これまで、政治には無関心でしたが、最近は医療崩壊を食い止める正念場だと感じ、政治家を囲む勉強会にも積極的に参加しています。次の国政選挙には、是非、医療について真剣に考えてくれる政治家に投票しましょう。
 
エッセイ
 2月の雑感、3題
 
 その1「50歳目前に、マークシートの試験を受ける」
 私は、マニアではありませんが、専門医などの資格を比較的たくさん持っています。2年前受験した「労働衛生コンサルタント試験」は、3日間の講習と口頭試問がありました。1回目は不合格で、2回目は予備校のような講習に通い、1週間ぐらい真面目に勉強しました。こんなシンドイ思いはこれで最後にしようと思ったのですが、魔がさし2月17日には、日本禁煙学会の専門指導医の試験を受けました。一応、受験勉強も、直前講習も受け、65問のマークシート試験に臨みました。23年前の医師国家試験を昨日のように思い出しました。「もし落ちたら恥だな」「落ちたら、認知症かな」なんて思いながら1時間があっという間に過ぎました。終わった時には手に汗をかいていました。と、同時に「50歳にしてなんでこんなこと、してるのかな?」と、自分に呆れました。出題者は、10歳位若いの先生方です。無事合格しましたが、これを最後にしようと決めました。
 
 その2「国会議員の応援団になってみて」
医局の後輩で、高校の後輩でもある32才の参議院議員の応援団をすることになりました。彼は、最近まで現役の勤務医で、医療崩壊を食い止めるという高い志をもって、国政選挙に出馬、見事、全国最高得票で、議員になりました。年末年始、縁があり彼と2人きりで、じっくり話す機会が2回あり、政治の世界や医療崩壊の対策等、意見交換しました。彼は、私より17歳年下なのに、とてもしっかりした考えを持っており、演説もうまく、私も医師講演会の発起人になりました。と同時に、まだ若いと思ってした自分の年をしっかり感じました。政治は、30代40代が動かしているのですね。
2月の休日。大阪で、彼の講演会と懇親会があり、約150人の市民や医療関係者が集まりました。私に懇親会の司会の大役が回ってきましたが、やはりこういう席には、いわゆる大物(医師会長や大学名誉教授など)が沢山おられて、私が最も若輩であり、冷や汗ものでした。しかし、このような席でも、堂々と場を盛り上げることのできる、32歳の青年議員には可能性を感じました。帰りは、彼の車で送ってもらいましたが、はっきり言ってポンコツ車であり、「清貧」という言葉が浮かびました。と、同時に高級車に乗っている自分が悪人に感じました。
 
その3「長尾クリニック始まって以来の大事件」
開業して14年目になります。ここまでやってこられたのも、地域の皆さんに育てて頂いたおかげと感謝しています。最近は何か地域にお返しをしたい、いい医療者を育てたいという思いが強くなってきました。3月1,2日には当院の在宅医療ステーション3階会議室で「日本ホスピス・在宅ケア研究会」による「市民ターミナルケアセミナー」が開かれることになりました。講師陣が、全国レベルの有名人(?)ばかりで、私は会場係にすぎないのですが、クリニックにとっては一大事であり、非常に緊張しています。地域の在宅ホスピスボランテア講座として継続できればと、願っています。
  
 
 

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